更年期障害

更年期障害

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更年期とは、閉経の前５年、後５年の計１０年間を「更年期」といいます。

２０～３０代は規則的な月経周期の方が多いと思いますが、４０歳前後から月経の周期が不規則になり、５０歳前後になると更に不規則になります。月経が１２ヶ月以上ない状態が続いた場合に、閉経と判断されます。女性の平均的な閉経の年齢はおよそ５０歳といわれています。

 

 

更年期障害とは、更年期に入ると卵巣機能が低下し、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌がゆらぎ

急激に減少します。そのような変化により体と心に不調が現れやすく、さまざまな症状が起こります。これらの症状が日常生活に支障をきたす場合を「更年期障害」といいます（男性の場合は、男性ホルモン「テストステロン」の減少によっておこります）。更年期の症状は個人差が大きく、複数の症状が重なったり、日によって症状が異なったりするのが特徴です。生活習慣、ストレス、運動不足、環境変化など様々なものが影響しあう場合も考えられ、更年期の明確な判断基準がないのが現状です。

 

血管運動神経症状	ホットフラッシュ、ほてり、多汗、冷え
自律神経症状	動悸、息切れ、めまい、頭痛、吐き気
身体症状	疲労倦怠感、肩こり、腰痛、関節痛
泌尿器／生殖器症状	頻尿、尿漏れ、外陰部違和感、性交痛
精神症状	憂うつ、不安、イライラ、情緒不安定、不眠

 

 

古典医学では、西洋医学のホルモンが原因という視点とは違い、「血の道症」としてみます。

その名の表すように血液(血)、もしくは血液中の水分(津液)になんらかの不調が出たために起こると考えます。血液は体内のあらゆるところに巡っているため、身体の様々な場所に症状が出てきます。男性も例外ではありません。この血液(血)の不調を本来の状態にととのえることで、症状の改善をしていきます。漢方は、日本産科婦人科学会のガイドラインでも治療方法として認められていますが、当院は漢方医学の考え方をもちい、施術を行います。

 

当院のアプローチは、大きく分けて以下の３つのタイプ、それぞれのタイプに合った施術を行います。

１．「血」が少ない　

疲れやすい、手足の冷え／月経中は下痢になりがち(だった)／上半身はほてり下半身は冷えるなどの症状が出やすいタイプです。病院で貧血と診断されなくても、このタイプになっていることはあります。血が少ないため、疲れやすく末端の手足が冷えます。月経時にはより血が不足するため腸が冷え下痢を起こします。体内の熱も部屋の中の空気と同じように上へ上ろうとしますが、血が少なく巡りが悪いと循環する力が弱く熱がそのまま上に残り、下は冷えます。　食欲がなく血をつくる機能が落ちている場合は、胃腸の調子をととのえることをまず優先します。下腹部の冷えには箱灸／塩灸などしっかり温めていきます。血をつくるはたらき(食事、睡眠、適度な運動)をととのえていくことで改善させていきます。

２．「血」の中の水が少ない　

夜寝ずらい／動悸／耳鳴り／頭痛の症状が出やすいタイプです。何事も徹底的に納得するまでやりきる人、根を詰める人は血の消耗が激しくこのタイプになりやすいです。１と２は血が少ないということは共通しているため、症状が重複して見極めにくいことがあります。ただこのタイプの原因は水が不足している／偏っていることなので、身体の水分を充実させる、もしくは流すことで改善させていきます。

３．「血」が停滞　

月経前のイライラもやもや食欲増進が激しい／月経痛が辛い／シミや吹き出物ができやすいなどの症状が出やすく、２のタイプが進行するとこのタイプになります。水が少なくドロドロになった血が部分的に滞っている状態です。胃腸に血が滞ると食欲増進させます。子宮に滞るとドロッとした塊が出たり痛さがでます。滞った部分にシミや吹き出物がでます。滞った血流をよくするツボで巡りを良くしたり、血が滞っている部位をみつけ直接はりやお灸で流すことで改善させていきます。

季節や環境の変化などによって、日々お身体の状態は変化するので都度確認しながら行っていきます。

 

更年期というと、ネガティブなイメージをしがちですが、次のステージにいくための体調の変化であり、必ず終わるものです。更年期を過ぎると、月経痛やPMSなどで辛い症状があった方は症状から解放されますし、心身の変化が落ち着き、すっきり元気になられる方が多いです。ただ体調の変化を我慢するだけでなく、上手くつきあうためのお手伝いをさせてください。

 

 

 

 

参考資料　日本女性医学学会「HRTガイドブック」
　　　　　産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2023